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「女の子がいてくれたら」。19歳。コンパニオン時代の思い

この世界との出会いは、19歳の時です。短大時代、趣味に没頭しすぎて、生活費まで圧迫するぐらいになっちゃって。お金の足しになればと、ヘルスでコンパニオンを始めたんです。2年の間に店舗型、デリヘル、それにソープランドも経験しました。

学校卒業後は、テーマパークにアルバイトスタッフとして就職。小さい頃からやってみたかった憧れの仕事で、辞める気なんて全然なかったんですが（笑）、今度はコロナ禍の不況で時給を下げられちゃったんですね。とても暮らせなくなって。

その時の同僚がキャバクラとの掛け持ちをするのを見て、自分も「ああそうか。また風俗に戻ろうかな」と思いました。今度はコンパニオンではなく、スタッフができないかなと……。

昔の自分のツラい思いや、ご指名を取るために努力した経験を、活かせるんじゃないかと考えたんですね。当時“女性スタッフ”がいるお店には、一度も当たったことがなくて。

「女の子がいてくれたら」と感じるようなことも多かったんです。男性には言いずらいこと、言えないことって、やっぱりありましたから。

2か月で正社員に。「そんなところまで見てくれているんだ」

ウチに応募したのは、家から近かったのと、あとこれはウソじゃなくて、『FENIX JOB』さんも見たんですよ（笑）。インタビュー記事が濃く深いのと、それに女性のお話も他の媒体より全然多いじゃないですか。

色々参考にする中で、『西船花壇』の記事と広告も読んだんですね。「あ、良いかも」と思って、すぐ面接をお願いしたんです。最初はここでもアルバイトから。印象通り働きやすい職場でした。2か月で「正社員になりませんか？」と声を掛けられて。

実は迷ったんです。コロナが落ち着いたらまたテーマパークに戻りたい思いもあったし、私はバイト以外の働き方をしたことがないし……。そもそもそれまで、スタッフだけではなく、先輩のコンパニオンさん達にも助けられてばかりでしたから、自分には資格がないような気もしたんです。

ところが掛けられた言葉は違ったんですね。「よくやってくれてるよ」って。

今でも覚えているのは、コンパニオンさんがお仕事に向かわれる際に、毎回玄関口まで「ありがとうございます。よろしくお願いします」とお送りしていたのを、すごく褒めていただいたんですね。「誰に言われたわけでもないのに」って。

まず“姿勢”が大切で、それは教えられることじゃないんだと。そしてその気持ちさえあれば、スキルは後から付いてくるというお話でした。実はお送りは、先輩の真似をしていただけなんですけどね（笑）。

でもとても嬉しかったんです。「そんなところまで見てくれているんだ」「働きぶりが評価されているんだ」と感じられて。せっかくのありがたいお誘いなんだし、「やってみよう」と思えたんです。

“勘”が働くのは、経験のたまもの。環境にも恵まれていた

1年経ってみて、「元コンパニオンで良かった」というのは、強く感じます。これは伝え方が難しいんですが、例えば電話を取った時に、やりとりの感じでなんとなく「なるほど。こういうお客様か」というのが勘でわかるんですね。

で、「この系の方だったらゼッタイ〇〇さんだな」とコンパニオンさんにお願いします。これができるのは、日頃のコミュニケーションのたまものでもありますよね。

さっき働きやすい職場だと言いましたけど、ウチはオフィスと待機室が近いので、電話応対の声は聞こえますし、日頃から「さっきどうでした？」「もしかしてこれ苦手なんじゃないですか？」という形で、相談したり、コンパニオンさん個々に寄り添ったマネジメントができるんです。

その意味で言えば、私は経験を存分に活かせる“環境”に出会えたんだと感じています。昔自分がいたデリヘルでは、一度も会ったことがないスタッフさんもいたぐらいでしたから。

まず“気持ち”。私にできて、あなたにできないはずがない

“頑張り甲斐”もありますよ。4月に正社員になった後、わずか3か月で今度は主任にしていただいて。ほんとに“やったらやっただけ”という感じですね。せっかくなのでこの先副店長、店長という形で、もっと上を目指していきたいなと。

私の場合はたまたま業界に戻ってきたようなところがありますけど、コンパニオンさん達の中には「先々どうしようかな。どうなるのかな」と、迷いや不安を抱えている方も少なくないと思うんです。

最後にそんな方に「こんなセカンドキャリアもありますよ」というのは、ぜひ伝えておきたいですね。私が社員になる時言われたように、ウチなんかはほんとに“まず気持ち”というところがあるので、飛び込んでみても、決して損はないはずなんです。

だって私、入社するまでパソコンもまともに触ったことなかったんですよ（笑）。車の免許なんて今もありません。……これはあった方が良いとは思うんですけど（笑）。

そんな私でも「社員に」と望まれる。5か月で「主任に」と上に引き上げてもらえる。私にできて、他の方にできないはずがない。私は本気でそう感じています。

取材後記

執筆者

松坂 治良

コンパニオンさん達は年上。入社の時には「どうしてまたこの世界に？」と、皆さんが心配し、かつ応援してくれたそうです。かつてご自身が孤独な場にいたからこそ、現在の環境に感謝し、また「お役に立ちたい」と強く思えるのでしょう。現在スピード出世中の石口さん。どんどんエラくなっちゃいそうですね。